2012.09.05
無農薬田んぼ
佐藤賢太郎

無農薬で米つくりをする大変さは何度も語っています。無農薬米つくりをやめたいと思ってしまうほど大変である。

しかし、誰でも無農薬で作ったコメを食べたいと思う。都会の人ほどそう願う人が多いと思います。除草剤、害虫駆除の薬を使った田圃と無農薬の田圃はどこが違うのか、豊実にお出でいただくと一目でわかります。探究心旺盛な方はご自身の眼で確かめてみませんか。

2年間完全無農薬継続の我が家の田圃には、ミヤマアカネのトンボが一杯飛んでいます。赤とんぼと呼んでいますが、赤いトンボはオスで、茶色のトンボはメスと調べて分かりました。本日、除草剤を使っている田んぼを見てきましたが、トンボは見当たらなかった。  

その田んぼ周辺には、無農薬米つくりをしている田んぼもあったが、その田んぼにもトンボはいなかった。どうしてなのか、一ヶ所の田圃だけではトンボは棲みにくいのかと思った。

断言はできませんが、日本のほとんどのコメ農家は除草剤を使っていると思う。しかし除草剤と言っても当然人間には害のない程度に全て抑えられています。

さて、私の田圃に多く集まるのはなぜか。トンボは楽しくてこの田んぼに来るのでしょうか? 餌を食べに来ていると思います。トンボの餌とはなんでしょう。イナゴの大きなものではなく、それは昆虫です。つまり、私の田んぼに寄る昆虫を食べているのです。除草剤は要りませんね。夏にはツバメが飛び交い、虫を食べる。当然、稲穂を食べる虫もいるでしょう。仕方ありません。これが自然の循環、自然の摂理なのだと思います。

無農薬米つくりは、新しく知ることばかりです。自然が大切と人は言う。しかし、本を読んだだけでは解りません。実行して、はじめて体験的にその本質が見えてくるのでしょう。

ヤゴはトンボの幼虫です。どこに産み付けるか、それは沼や田んぼです。言うまでもなく、安全で自然なところにヤゴは育つと言えましょう。昨日、トンボが尾を田んぼの水面にたたきつけていました。それは卵を産み付けているのです。産卵はいろいろありますが、環境が変わり産卵しにくくなっています。

今、田んぼには水がありませんが、沼の代りに水がある、生き物が生息できる田んぼを作りました。この田んぼがあれば、トンボは安心して田んぼに卵を産めるのでしょう。だから私はアートを兼ねながら田んぼを作り、ここを「いのちの田圃」と名づけました。

また、一年中水を張った古代米を植えた田んぼはいったいどのような生物が命を育むのか、その様相を観察するのも楽しみです。命を育むということが、今の私には一番の関心ごとです。