2014.12.24
アートと生活2
佐藤賢太郎

 宮澤賢治の「雨にも負けず」はあまりにも有名な詩である。これは実在の人物、斉藤宗次郎がモデルと言われています。

 私はガンの宣告をされて死を意識するようになったとき、どういうわけか「雨にも負けず」を口にしたくなった。自分の生涯が終わるかもしれないとき、私は無欲になった。私には欲があり、健康であれば、雨にも負けずのような心境には到底なれなかっただろう。と言うより努力しないだろう。

 あの時、私は雪を見ながら、命が終わるかもしれないとき、こだわりや、欲など考えられなくなった。今までの人の出会いに感謝した。それで、「雨にも負けず」が脳裏に浮かんできた。

「欲はなく、決して怒らず、いつも静かに笑っている。そういうものに私はなりたい」と宮澤賢治は語っている。

 健康を取り戻し、なぜ今「雨にも負けず」なのか。

雪が降り、豊実も静かになった。そして忙しかった一年が終わろうとしている。一年よく動いたものである。悔いはない。

そして、ようやく彫刻制作に手が付けられる。アトリエには、すでに出来上がっていた地蔵様があった。それを見て、ひらめいた。私はその台座に「雨にも負けず」の文字を彫りたくなった。それは生活感からくるのであった。

もう一つそれは絵である。昨年の冬は悠悠亭の壁面や部屋の襖やトイレに絵を描いた。今年は母屋の壁面に絵を描いた(まだ納得していないが)。そして、寝室の天井に絵を描くことになった。星空でもあり、ギリシャの海でもあるイメージである。まさにアートと生活であろう。皆様はこれを見て何を感じるであろうか。