2014.03.13
アートと生活1
佐藤賢太郎

 今年から里山アート展のテーマを「アートと生活」とした。

 過疎地において、アートは我々の生活とは縁のないものと思われがちである。だからアートで何ができるかを、具体的に「循環・再生・創造」という視点で取り組んでまいりました。今年からはアートが我々の生活とどのように結びついているか、それを追及しようと取り上げました。サブテーマは〜誰もが楽しめ、挑戦できる〜としました。

 なぜこうなったかを、もう少し述べます。助成金に頼りきることが難しくなってきた現在、アート展を続けるには、日頃アートに係わっていない方にも里山アート展に参加していただかなければならないという事情がありました。だからと言って、何でもいいということにはしたくありません。

 それには、こんな風にできるという手本が必要です。主宰者の私はその見本を示さなければなりません。その第一段階として、滔滔亭の壁面に宇宙の絵を描きました。滔滔亭は一変しました。この片田舎に来て、宇宙のことを考える場があるとは意外と思われるでしょう。これが地域興しの一つでもあると考えました。

 さて、宇宙の絵を描くとなると宇宙のことを調べなければなりません。そこで、東京に住んでいる仲間の荻原正江さんにその本を探してほしいと頼みました。星座の本、宇宙の本は少し難しいというと小学生用の宇宙の本を計3冊送ってくださり、ご自身も「私も勉強したい」ということになりました。これで共有点が一つできました。そしてコスモ夢舞台の指針についても、そういうことが含まれていると私は話しました。

 母屋のトイレや部屋の襖に絵を描きました。さらに、200号大、コンパネ2枚の大きさのべニア板に宇宙をテーマに描いてみました。毎日過ごす茶の間兼応接室の部屋が、また一変しました。絵があることによって、人の心が変わるのです。常識を打ち破ることです。まさしくこれが、「アートと生活」の一段目ではないかと思うのです。

私はさらに家の外装に絵を描くというと、仲間の一人古田浅吉さんは、「佐藤さんだから、やっても可笑しくならない、普通の人がやったらとんでもないことになる」と言った。私は、「里山アート展」であるからこそ誰もが挑戦できるのではないか、その思いを切るチャンスが「里山アート展」であると思っている。家の外装に絵を描く、これは少なくとも田舎では常識ではない。そこが私の狙い目であります。