2012.5.23
フランスのアーティスト来訪2
佐藤賢太郎

5月22日、私はトラックで郡山までゆき新幹線に乗り換え、フランソアさんを案内するEU・ジャパンフェストの箱田さんと車内で合流した。目的地の青森県田舎館村役場に到着すると、ものすごい数のテレビ局、新聞社のマスコミの方々が待ち受けていた。

いったい、「田んぼアートの村」とはどういうことをしているのかを知りたかった。私たちの里山アートとどう違うのかを視察し、参考にもしたい思いがあった。

村長さんは時間がないこともあり、挨拶もそこそこで如何してここが分かったのかフランソアさんに質問していた。箱田さんは以後通訳に追われ、役場職員は対応に汗を流していた。

田んぼアートの現場に移動してみると、どのように田んぼアートをつくっているのか、フランソアさんを中心に取材されていた。彼女も多くの質問をして、マスコミも感想などを取材して時間は思いのほかかかってしまった。私はかばん持ちのような存在になって、誰一人として私に関心がなかったようだが、あるテレビ局が立ち話に私に質問してくださった。私は「同じ田んぼを舞台にしてアート展を開催しているが、自然や食ということを基本においてアートで何ができるかを実施している」と言いますと、「それが本当かもしれないですね」答えが返ってきた。

田舎館村の田んぼアートは、田んぼに色の違う7種類の稲を植えて絵を描くという人文字のようなものであった。これには大変な作業努力があった。村役場が村おこしとして職員総掛かりで行い、見学に来る観光客も大変な数になるという。しかし、泊まるところ、買い物するところもなくて経済効果はないようであり、アートでできたコメは食べて食べられないことはないが、美味しくないそうです。

さて、帰りにフランソアさんから「あなたもこのような田んぼアート展をしますか」と質問された。勿論私は「しません、あんなことはできません」と答えた。こうして郡山からは私のトラックにEU・ジャパンの佐伯さんが箱田さんと入れ替わり、フランソアさんと一路高速道路を使って豊実に戻った。

私は田んぼアートの総括をしなければと思っていたところ、車中佐伯さんが通訳をしてくださり、フランソアさんとの間に理解と共感をつかむことができた。

「みんなで協力し合い取り組むこと、それが若者たちの踏みとどまるきっかけになり、それによって多くの方が集まり活性化ができることは良いことだと思う。ただ、毎年絵柄を変えても同じことの繰り返しにならないだろうか」と言っていた。

まとめてみると、田舎館村では村おこしの一環として田んぼアートを実施している。食べるためではないこの田んぼに農薬を使っているかかどうか判らないが、ともかくスケールの大きな絵柄をはっきり出すことを第一としている。絵柄を描く下準備は工事現場のような設計図を作り、トランシットを使う。苗は専門の方が作り、植え付け作業は職員や大勢の人手によってなされる。結果として、多くの人が見学に来られることになる。期待される経済効果なくとも、村おこしとして多くの人びとの手による共同作業を継続していること自体には敬意を表したい。

ともあれ今回、私はあえて即、動きました。ハードなスケジュールでした。健康でなければできませんが、“動いてこそ感動にめぐりあえる”です。神さまから命をいただき、動けますことを嬉しく思います。

最後になりますが、EU・ジャパンフェスト日本委員会のスッタフの方はこのようにご苦労されて受け入れを国内海外でなさっています。お蔭さまで私は学ぶ機会を頂けたことに感謝申し上げます。