里山アート展を訪れて

カーテンの様な優しい小雨の中、ひんやりと心地よい空気に包まれ里山アート展が広がっていた。「作品たちが、楽しそうに大地で遊んでいる」自由にそれでいて協調しながら自己表現している。この地に暮らし、この地で語り、積み重ねてきた歴史が息づく大地に根をおろしていた。アートは、日常の見慣れた風景、暮らしの中に存在している。この里山アート展は、その実態を語りかけているようだ。

私たちNPO法人和歌山文化支援協会(wacss)は、「アートは、人やまちを元気にする」をコンセプトに10年前に設立、未来を担う子どもたちに楽しみながらアーとト触れる機会、場をたくさんつくりたいと活動している。私たちの活動に支援頂いているEU・ジャパンフェスト日本委員会事務局長古木修治氏の紹介で、初めて佐藤賢太郎さんにお会いしたのは、冷たい霙が降る2007年3月だった。迎えてくれた佐藤さんの温かい大きな手と大きな笑顔は忘れられない。メンバーと作ったコスモ夢舞台の数々の場所を案内してくれ、里山アート展への想いを熱く語ってくれたのが昨日の様に思える。確か、メンバーの方や近所のおばあちゃんたちと味噌作りを体験した。何もかも初めての経験だったのに、とても居心地の良い場所だった。その後も、EU・ジャパンフェスト日本委員会の提案される地域交流会で、鳥取などでお会いする機会があった。2009年夏、エストニアのエレルヘイン少女合唱団の田んぼコンサートで2回目の訪問となった。この時も佐藤さんたちは、全霊を傾けての受け入れをされていた。その情熱と行動が地域の繋がりに広がって行くのだと確信した。

今回、3回目の訪問で叶った里山アート展見学。石舞台を踏みしめながら、それぞれの地域を超え、里山アート展とwacssプログラムが繋がる「「アートのちから」を佐藤さんと分かち合えた。短い滞在だったが、有意義な時間となった。

                                       NPO法人和歌山芸樹文化支援協会

                                                           理事長 井上 節子