2012.10.15
「田んぼ夢舞台」夜話
森 紘一

 里山アート展の開催、田んぼ夢舞台祭りを翌日にひかえた和彩館の晩餐は、期せずして各地から集まった顔ぶれの楽しい交流の場となった。

和歌山からお越しの芸術文化支援協会 井上理事長ご一行さま7名は、13時間かけての大遠征である。作家の林さんご夫妻はふたりの幼児とご一緒で、薄暗くなるまで作品の設置にとりかかられていた。

日出谷小学校との作品コラボを進めるレギュラー出品作家の間地紀以子さん、会員の大野さんとの共作で完成は来年という大作を制作中の安部大雅さん、衛守和佳子さんと田中清隆さんも関東方面からの長距離ドライブである。

郡山在住の会員大島和子さんも、今回障害者施設の仲間とともに「今、私たちは立ち上がる」という作品で参加され、かたわら厨房のお手伝いで残留されていた。

それぞれに、佐藤さんや里山アート展との出会いを語り合い、佐藤さんも来年は10回目となる里山アート展へのおもいや自らのガンの状況などを話された。

そんななかで、どんな文脈であったか定かではないのだが「作品は、作家を超えると云います」と間地さんが発言されるひとコマがあった。

その伝でいくと、佐藤さんや我われの描くコスモ夢舞台の夢も、すでに我われを超えて別の世界に巣立っているように思えなくもない。

アート展会場の田んぼの畦道は石畳みの散策路として整備され、ビオトープつくりの進んだ蛍の川やメダカの川は懐かしい故郷の原風景である。さらに、シーソーやアスレチックコーナーで遊ぶ子供たちの姿は大自然に溶け込んで違和感がない。

歌の国エストニアのあのエレルヘイン少女合唱団が田んぼの仮設ステージで歌ったのは3年前である。田んぼ夢舞台は、今や地元と都市、海外の人びととの交流広場となっている。あらためて、EU・ジャパンフェスト日本委員会のご縁で繋がった絆の拡がりに感謝の念が湧く。

   わたしも興にのって、来春横浜の大倉山記念館で佐藤さんの講演『創造に生きる〜ギリシャとの絆・人、自然との共生〜』が決まった経緯とこれからの夢を皆さんにご披露した。ありがたいことに、少なからず皆さんの関心を集めたようである。