2009.11.25
里山アート展に参加して6
佐山道知

  私が里山アート展に参加するようになって今年で3回目です。
   最初の年は、出品するという作家として当然の行為のみの参加でした。それに最初から、佐藤さんの考えておられた理念を、完全に理解していたわけではありませんでした。それでも興味は有りましたし、私自身今だかって田園風景の中に作品を置いたことは無かったこともあり、出品しようと思ったからです。

しかし、昨年、アルミニウム鋳造の大作茄子を、刈り入れの終わった田圃に設置した時に、ある感動を覚えました。仕事場で長い時間と労力をかけて造り上げた一つの形が、豊かな実りをもたらす黒々とした大地のボリュームに、見事に調和したからです。これは思いがけない発見でした。近作だし、風雨にも強い素材だからと、単純に考えて出品した作品でしたが、まさにその場所で、完全に息遣いを始めたからです。

私は初めて自分の才能に気付きました。それは自惚れではなくて、これからも彫刻を造り続けて行ける自信といったものです。

今年、私は、田圃と直接対話して作品を設置しました。無言の会話です。切り株も、勢い良く伸びている「ひつじ」(切り株から出ている新芽のこと)も、私の作品を受け入れてくれました。素直に、幸せな気分になれました。

搬出の日、今迄、美術館や画廊の空間に、数多くの作品を展示してきましたが、それとは全く別の充実感を味わいました。この気持ちが続けば、佐藤さんの考えておられる里山アート展に、これからも参加できるのかなと思っています。