2007.06.09
体験学習・K高等学校生

埼玉県の男子高校生8人を受け入れた。
体験に入る前に(ここでは挨拶をきちんとすること、入浴時のふろのマナーについてなどの)約束事を話した。私と御沓一敏さんが2つの班分かれて担当した。

初めの仕事は猿対策のためビニールハウスの骨組みにネットをかけることをさせた。
歌を歌いながらする生徒もいた。私は良くしゃべる班の4人を受けもつこととなった。歌いながらもいいかと仕事の指示をしていた。しかし道具を畑の中に置いたまま踏みつけたりしても平気でいたので、道具はそのように扱うものではないと注意した。それでもよく話しはやまない陽気なグループであった。
私のことをある生徒は師匠と言い出した。以来師匠と呼び始めた。

翌日は朝6時朝仕事体験として杉の枝拾いをした。丸太も運ばせ巻き割りも少し体験させ朝食となった。面白がっていた。午前は丸太をチエーンソーで切る体験、のこぎりを使っての体験、杉の葉を集めることをした。

しかしなかなか気合の入った動きが見られなかった。 仕事を少し早めに終え悠悠亭に連れてゆき、スキンシップとして私と相撲をとることにした。4対1で生徒一人5回私は20番続けたが一番も負けることはなかったが、さすがに私は少し疲れてきた。中には胸に私の頭を付けられたまま杉の立ち木にまで押されてその衝撃に、驚いたようだ。これも少し無口にして、人と人が真剣に向き合う一生懸命さを判らせることに狙いがあった。それにしても疲れた。

翌朝、朝体験として薪片付け煙突掃除、マキ積み上げ、火燃やしと一人一人分散させた。変らず話が多いからこれでは汗を流して取組む事なくだらだらとなってしまう気遣いからであった。
マキ積では指一本でまきを扱おうとしている。そこで私は「馬鹿やろうそんなことでマキが動かせるか怪我をするぞ。」と怒鳴った。

いつ頃か今度は先生、水遊びできませんかと言っていたのが頭にあったので、私はロープを張った谷底に案内して15分後まで上がって来いと指示した。水遊びにたどり着く下り、登りは楽なコースでないがスリルがあり変化があったと思う。

さて最後のメニュー餅つきをさせた。とてもおいしいと杵でついたもちを食べた。こうして終えた体験学習であったが私は何事も自分が一生懸命に取組むとそのような人間と出会うのだと話した。生徒の感想の中に師匠は厳しかった、しかしリキ(我が家の人間癒し犬)に慰められたと言っていた。その生徒から別れに握手を求めてくれた。(佐藤賢太郎)    
                                                     












佐藤さんのクラスとは対象的に、私の方の4人の生徒たちは寡黙でこちらから話しかけない限り、会話がない。その分、仕事は進むのだが、もう少し元気を出させてやりたい。そのためには、逸早く、生徒たちの特徴を読み取らねばならない。

昼食の後の初仕事は、薪用の材木を切り、ボイラーの近くまで運ぶ作業である。危険度の少ない電気のチエンソーと最も原始的なのこぎりを使ってやってもらう。筆者はガソリンとオイル混合の燃料を使うチエンソーで大きなものを切る。小雨が降ったり止んだりの天候であったが決行した。

怪我だけはさせてはならない。足元の整理、整頓、お互いに声を掛け合うことなどの注意をした後、道具の使い方を一からはじめる。

一言言えばすぐに理解して手際よくやるW君、この子はある程度任せておいても大丈夫である。
「ハイ」と言う返事は良いのだが、少し集中力に欠けるS君、でも、明るそうな性格なので少し厳しく言った方が良いと判断する。
一所懸命さは見えるのだが、飲み込みに時間のかかりそうなF君、焦らせずにじっくりと対応する。
背丈はあるのだが、食べ物にも好き嫌いがあるようで、一歩踏み出すのに時間がかかるU君、一つのことをやり遂げることによって、自信を持たせてあげたい。

予想通り、それぞれに大変な思いをしながら、風呂の掃除とボイラーでの風呂焚きも同時に終わらせた。みごとなくらいきれいになったがここでも生徒たちからは言葉は出なかったが、表情から満足そうな様子が感じ取れた。

彼らには、自分たちが苦労して沸かした一番風呂に入ってもらう。さすがに、「気持ちがよかった」という声が聞こえてきた。
夕食は滔滔亭の囲炉裏で、8人合同のバーべキューである。美味しいを連発しながら食べる高校生の食欲はさすがにすごい。

翌日、6時からの朝仕事は、里山アート展の動物たちが展示されている田んぼの土手の草刈作業である。ここでもそれぞれの特徴が結果に表れるが、力をあわせて予定の範囲をやり切った。
帰りの道々、どんな職業であれ、プロとアマチュアの仕事の違いは納期(約束)があって、それを守れるかどうかにかかっている。そのためにも協力し合うことの大切さを話した。

朝食の後、出発までの時間は蕗採りと皮むき、その場所の草刈を行う。その後2人には薪割り体験をしてもらう、ここでもW君は飲み込みが早く結果を出す。
U君がやっと動きだしたが、上手く行かない。さらに60歳過ぎのおじいさん(筆者)がスパッと割って見せると焦りと悔しさからか本気になってきたが、時間切れで翌日のリベンジを誓って中断する。
あとの2人はおにぎりをつくる手伝いに回る。大小いろいろな形のおにぎりではあったが、働いた後の食事は美味い。瞬く間になくなっていく。

午後は、学校全体での田植えの体験学習のために生徒たちの送り迎えを行う。
夕食には草刈をした場所の下の田んぼでとれた黒米が出された。片付けのとき、隣のF君のご飯茶碗を見ると米粒がたくさん残っていた。田植えで体験した米作りの大変さ、縄文館で話した「ご飯粒一つにも神様がいる」という話が結びつかないらしいので、最後まで残さずに食べるように言ったところ素直に聞いてくれた。

最終日の朝仕事は滔滔亭の横に置いてあった杉の枝などの小物を鉈と斧とのこぎりを使って薪にする作業である。疲れもあるだろう、さらに全員が刃物を使うので一段と注意を喚起した。ここでも彼らは最後まで仕事をやり終えた。

合同の餅つきの後、U君に意志を確かめると最後まで残しておいた木を何としても割ってから帰りたいという。
最初は応援で見守っていた仲間もいなくなり、筆者と2人きりになった。今度は口は出しても、手出し無用である。U君も汗びっしょりだが、根をあげない。かなりの時間がかかったが、ついに割れる瞬間がやってきた。何とも言いようのない良い表情をしていた。

反省会での、短い発言ではあったが、それぞれに満足のいく時間を過ごしてくらたであろうことが伺えた。
佐藤さんがいつも言っている何事にも「好奇心」を持てば、「向上心」「向学心」につながることを話しながら集合場所へ送って行った。こちらも真剣勝負の2泊3日であった。(御沓一敏)