2007.05.25~27
体験学習・T中学校  

25日午後、2泊3日の予定で千葉県よりT中学校の体験学習が行われる。久しぶりにマキ子さんの代わりに津川のB&Gまで生徒たちのお迎えに行き、対面式に出る。大分練習したのだろうか清々しい校歌の合唱を聴きながら校風のよさが感じられる。

和彩館では男子生徒4人の受け入れだ。民家の名前が大きく表示されたプレートを見て生徒たちの方から近づいて来た。野球の試合の関係で1人だけ後から来るとのこと、皆、挨拶、対話にそつがない。大人の雰囲気を感じさせる子たちである。

15時前に和彩館へ到着。挨拶、着替えを済ませ、まずは手始めにやさしい方の薪割りを行う。途中から1人が加わったが、皆、素直な上に体格も良いので、なんなく割れる。何しろ全員フォームが良い。このまま行くと筆者の出番がないかも知れない。人間とは勝手なもので、それはそれで今度は物足りなさを感じる。

割った薪を運び、河原に行って、小枝を一カ所に集める作業をした後、桃源の湯の掃除をして入ってもらう。生憎の雨で、車での送迎となる。時間も押していたので、30分と制限時間を決めて迎えに行ったが一向に出てくる気配がない。穏やかな話し声が聞こえてきて楽しそうに入っていたので、言う必要もないかと思ったが、温かい料理を食べてもらおうと、時間の調整をしてくれている人のことなど考えて、約束の時間を守るようにと一こと苦言を呈した。食欲もいままで来た生徒の中で一番旺盛だ。年齢的には昔はこれが当たり前であったものが、今では珍しい光景となる。

朝仕事は6時半から大きめの丸太に楔を打ち込んで割る作業を行う。あっという間に、縄文館横の大きな丸太が片付いた。朝食後は、場所を石夢工房の広場に移して本格的な薪割りを続ける。全員の得意技となり気持ちよく作業も進んだが、意外なことに、簡単だろうと思った電気式チェーンソーを使って木を切る作業で少しつまずいた。ちょっとした補助道具を作り、作業効率を上げて何とか予定までこぎつけた。

昼食はマキ子さんが不在のため、カレーライスを作ったことがあるという2人の生徒に食事班として全面的に任せた。カレーの量がご飯に比べて少なかったのでどうするかと様子を見ていると、何とカレーの上にご飯が被るという状態になりこれも、ぺろりとたいらげたのは圧巻だった。 

昼休みは、事前にもらった手紙の中で2人から要望のあった魚釣りだ。ここでは時間も無いし、身体を動かすことを基本としているので、釣りのメニューは殆どない。今回は特別な計らいであり、お助けマンFさんのご好意で竿が4本用意された。阿賀野川での釣りは難しそうだが、やっと1人の竿に手ごたえがあった。地元ではギンコーという黄色実を帯びた鰭がとげのように硬い魚である。それでも成果があったことでこちらもホッとした。

少々、時間が食い込んでしまったが、十分な機会操作説明の後、線路脇の土手の草刈作業をはじめる。当然のことながら、薪割りのようにはスパッといかない。それでも一所懸命さは変わらない。丁度、先生方の巡回の時間に当たり、じっくりと坂道の上からまさに、高みの見物をしていただいた。

雨が激しくなったので、既存の看板を再生させるために板をガスの火で焦がす作業を行う。喜ぶかと思ったが、意外なことに人気がない。佐藤さんが始めたレベル4の大木割りの方へ皆行ってしまう。好きなことだけをやるという姿勢に問題ありと思ったので、炭の部分をブラシで落とす工程まで全員に体験させ、完成させる喜びを味わってもらう。夕食は石窯でピザ焼きの体験である。ここでも食欲は衰えることなく眼を見張るものがあった。

翌朝、6時に集合すれば、美術館、縄文館を見学させるという約束をしたが、多分、疲れたのであろう起きて来ない。待つこと25分、帰る日の最後の時間帯にこちらも黙っていて所謂、良いおじさんでいることもできたが、約束時間を守ることの大切さを話して聴かせた。

別れ際、全員が握手を求めてきた。一人の生徒の眼が少しウルウルとしているように感じたのは筆者の気のせいだろうか。実に爽やかで、素晴らしい子どもたちとの出会いであった。(御沓一敏)