2009529
コスモ夢舞台滞在記7体験学習4
鈴木隆雄

体験学習始まる 

518日(月)午前7時、阿賀町豊実に着く。五月の豊実は燃えるような青葉若葉が雨上がりの朝日に輝いていた。私にとって半年振りの豊美は、厳しい冬の衣を脱ぎ、待ち焦がれていた春の芽吹きを過ぎ、生命の躍動する季節を迎えていた。これから体験学習が始まる。若者との出会いのシーズンである。

今回、18日から29日まで4校の中学校4組の男子生徒とかかわることができた。来ていただいた生徒へ伝えたいことは、汗を流して労働する労作体験と食の大切さだ。生徒と接する心得として、先ず安全第一を心がけること。自己紹介で体調の様子、アレルギー・既往症の有無、食べ物の好き嫌いなどを聞き、部活、特技、好きなことなどを話してもらった。体験学習のメニューは、時期や宿泊日数と時間の関係で内容を用意した。田植、草刈、蒔き割り、蒔き運び、風呂掃除・風呂焚き(薪焚きボイラーで水を沸かす)、部屋掃除、食事の手伝い、山菜採り等である。

労作が終わると、入浴だ。里山の見晴らしのよい台地に入浴場がある。その入浴場は、眼下に沢(馬取川)が流れ、沢沿いの森林が連なる遥か彼方に飯豊連峰を望むことのできる絶景のスポットにある。そのお風呂を<桃源の湯>と名づけている。その湯に入って生徒は労作の疲れをハシャギながら癒していた。

食事は山から採りたてのミズナ、ワラビ、フキ、タラの芽などの山菜をはじめ、その他旬の野菜が豊富にあり、天ぷらやフライ、煮物などに調理され、おいしくいただくことができる。

 佐藤家の炊飯とお風呂のエネルギー源は薪である。薪の確保は欠かせない。間伐材、朽木、杉の木のはらった枝など、里山だから集めることができる。どの体験学習生にもこれらの薪運びを体験させることにしている。他に田植、草刈や山菜採り等を体験した生徒もいた。

また、サプライズがあった。23日のホームステイで労作に取り組んだ生徒で、パレット(フォークリフトの運搬台)作りに挑戦した。二人一組の作業だ。現物の見本を見せ、外形寸法を指示しただけで、手際よく材料を選び,寸法取りをし、釘で打ちつけ見事に仕上げたのだ。中学生の底力を感じた。

 食事はバライティーに富んでいた。薪で炊いたご飯に旬の野菜、山で採ってきた山菜などを取り入れ、笹船寿司、ちらし寿司、天ぷら、フライ、竹の子とフキの入った煮物、ミズナのおひたし等々、手間をかけ、自然からの恵みの感謝の心の入ったマキ子夫人の手料理はどれも絶品である。この他、会津産そば粉100パーセントのマキ子夫人の手打ちそば、これも此処でしか味わうことのできない逸品である。

食のサプライズもあった。24日(日)、喜多方から佐藤さんの友人の魚屋さんがやってきて、旬のカツオ、サバ、イカを差し入れていただいた。正に今の季節にピッタリのタイミングであった。山に青葉があふれ、ほととぎすのさえずりを聞きながら、初カツオを手巻き寿司にして食べ、生徒も大人も大満足の昼食となった。あらためて、大勢で円卓テーブルを囲んで、笑顔で食事をいただく、食の醍醐味を感じた瞬間であつた。

冒頭にも書いたように体験学習生に伝えたいことは、額に汗して労働し、早寝早起き朝ごはんだ。短い期間ではあったがみなしっかり取り組んでいた。礼儀正しくあいさつも返事も良くできていた。修学旅行から帰って、日常の生活に戻っても、阿賀町豊実で体験したことは体で覚えていると思う。これからの将来に役立てていただきたいと願っている。