2007.05.19
体験学習・Y中学校生

5月16日、2泊3日体験学習のため埼玉県よりY中学校の男子生徒4人が訪れた。
夕方4時半頃の到着なので、風呂に入り、食事だけで終わる予定であっが、タイミングよく、村松のIさんから「釣り体験をしてはどうでしょうか」という連絡があり、早速、お願いすることにした。

先日、お見えになり、悠悠亭の近くで2,3回釣り糸を流しただけで、ヤマメを釣った実績がある。さぞかしと皆が期待した。ところが、この日に限って全然、当たりが来ない。
こうなると、先生の方がむきになる。悠悠亭の上流の馬取まで行ったが、ついに収穫はなかった。
しかし、この民宿は、Iさんのような方、また、田植えの体験に間にあうようにといって、苗を届けてくれる人など、善意の人たちで成り立っていることを生徒たちに伝えた。

桃源の湯は溢れる寸前であったし、熱くてすぐには入れなかったが、これが幸いして、湯船の外で裸のお付き合い。Iさんも一緒に入り、皆で和やかに打ち解けることができた。
まだ、明るさはあったが、ロウソクに火を燈した。すると歓声が上がり、「こんなところにズーッと住みたい」という声が聴こえてきた。果たして帰り際にも同じ言葉聞けるかどうか。

就寝前にスポークスマン役のS君が、一日の行動について、反省チェックをはじめた。自分たちと民宿側の両方の判定欄があるらしい。筆者には風呂での後片付けの状況について聞いてきた。はっきりとできてなかったと答えた。しかし、一日を見直し、次の行動につなげていこうとする姿勢がすばらしいということを伝えた。
欲を言えば、○×だけでなく、面倒でもコメント欄があって内容も記述できるようにすると良いと思った。
病気ではなさそうなのだが、口数が少なく、元気のないN君の様子がスタッフ一同(3人)気になった。

2日目は、午前中薪割り体験である。といっても、炭火を起こすときに使う焚き付け用の細かいものをつくる程度の作業である。それでも初めての経験らしく、実際にやってみると難しい。小さなものではあったが割れたときの手ごたえは十分なようで、皆、満足そうな表情をしていた。

次は、そば打ち体験である。そこへ巡回のために先生方がお見えになり、生徒たちの様子をご覧になっていかれた。
そばの太さはいろいろであっても、粉まみれになりながら自分で作って、その場で食べるそばの旨さは格別なのだろう。「美味しい」を連発しなが食が進んでいた。
一休みして、午後からの体験は桃源の湯の風呂焚きである。

火の点け方からつまずく。どういいものが燃えやすいか。炎はどのように昇っていくのかなど。すこしずつヒントを出しながら、実際にやってもらう。
燃え始めれば、皆、夢中になる。焚く方は2人に任せて、山積みになった杉の枝を生徒2人と筆者で運ぶ。1本の重さは軽くても、取り出すのが厄介で、運びにくい。
N君も黙々と作業をしている。誰もギブアップしないので1回休んだだけで作業を続ける。3時間くらい経っただろうか、やっとお湯が沸いたので、湯船にお湯を注ぐようにして山を下りた。今度は滔滔亭に戻り炭に火つける作業である。これは経験があるので、要領が良い。

次は、生簀に入ったヤマメをそれぞれが網ですくいあげ、腹を割き、串刺しにし、塩をつけて、滔滔亭の囲炉裏で焼く。魚の命をいただく。これこそがまさに「いただきます」の語源であることを伝える。

「タラノメ」を食べてくるように」おじいさんとおばあさんに言われてきたという生徒がいた。ちょっと時期が過ぎていて少量しか取れなかったが、わずかでも体験だからということで、ヤマメの塩焼きとともに食べてもらう。
さすがに、作業がちょっとハードだったようで、1日目よりは早く、床に就いたようだ。

翌朝は皆、清々しい顔をしていたが、特に、N君の表情が来た時と違って段々と柔らかくなりにこっと笑顔まで出るようになったのにはスタッフ一同大変に驚き、喜んだ。
“動いてこそ、感動がやってくる”とは佐藤さんの言葉だが、その通りだなと改めて思った。

また、送っていく車の中、何時までも和彩館のパンフレットを握り締めていたのも、N君であったようだ。

最後の時点で、ここにズーッと住みたいという声はあがらなかったが、この子たちがここでの体験で何かを感じとり、心の片隅にわずかでも思い出を残してくれれば幸いである。(御沓一敏)