2015.01.17
地方創生に思う
佐藤賢太郎 

日本には様々な課題が山積していますが、地方が元気にならなければ日本に活力が蘇らない。そのために、国は地方創生に取り組む方針である。そんなに簡単に成果や答えが出るものではないと思う。難しいと言うことは誰でも言えるが、地道でも実行することは、さらに難しい。 

田舎に住み、過疎の限界集落にUターンした私からの提言です。若し経済的に立ち上がることばかりを成果の目標にしているならば、私の考えとは少し違っているかもしれない。先ず初めに、私は田舎に住む魅力を感じることだと思う。その魅力とは幸せ感を享受することだ。

幸せ感とは、(1)健康であること(2)自然と共生して、人と共生してゆけること(3)やりがいや生きがいがあること。

健康は誰もが求める共通する価値観である。自然の中で暮らすことも大方の人は望む。人との共生、これは信頼し合う人間関係をもっていること。やりがいとは、自分のしていることが、社会の役に立つことではなかろうかと思う。

健康の源は、自然の中で暮らしながら自然の摂理に従って生きてゆくことであるが、食は命である。無農薬の安全な食は、田舎で手に入れやすいと思える。田舎には、その条件がそろっている。

地方の創生には都市との交流が欠かせない。田舎では都市の人、外の人を好意的に受け入れることが求められる。排他的な精神風土ではいけない。新しいものを、自分との違いで排他しないことであると思う。

人の社会の役に立つことは人間の喜びである。コスモ夢舞台は、(1)、(2)、(3)を目標に取り組んできたと思う。もちろん完璧とは言えないが、曲がりなりにもその方向に向かってきた。問題は(2)の排他的精神風土をどうするかである。時間がかかることであるが、少なくとも里山アート展や和彩館開業、田んぼの復活、ビオトープつくりなどを通して、私たちコスモ夢舞台は実践してきた。

私の住む田舎は、年々人口減少に歯止めがかからない。そんななかで、仲間と作りあげたコスモ夢舞台を、ようやく前向きにとらえてくれる方が出てきた。 

あるものを活用して建設し、都市との交流を盛んにしている。あともう一歩で、何の変哲もない田舎が魅力ある田舎になる。しかも、経済的活動も動き始めている。こうした活動を首都圏で講演などを通して宣伝している。

若い方に継いでゆくためにも、里山アート展やさまざまな事業は冊子などを作り、魅力ある田舎の生活を宣伝している。そのためにも各種の助成制度を活用してゆかねばならない。 

将来的展望としては、安全な食を都市に提供すること。そして、その生産農家、その流通に携わる職の雇用を促進すること。観光、教育塾、里山アート展などの雇用創設が必要である。それを促進するには、都市と結ぶ意欲ある人材が必要であると思っている。

我々の事業は、まだまだ経済的成果が出ていない。しかし、田舎に暮らして、健康で楽しいということが一番大切である。簡単に言えば、それが地方創生の一つの答えかもしれない。そして、さまざまな事業を組み合わせる知恵、工夫、そうしたことをコラボレーションする力が絶対に必要である。 

最後に、これからの高齢化の課題を避けるわけにはゆかない。福祉で全てまかなうことは不可能である。国の借金が膨らむ一方である。老後を在宅で健常者と助け合う生き方を、田舎でしてみようとする制度の緩和と助成も必要とされてくると思う。