2019.2.14
工房の水
佐藤賢太郎

 去年一年かけ、山の水を使って給水をした。その配水工事は危険極まりない仕事でした。わずかの水を、坂道を上って給水しなければなりません。その作業のために梯子を作りました。それが荻原さんの里山アート展の作品になりました。命を懸けた梯子です。荻原さんは分かるでしょうか?

  この水が風呂の湯になり、彫刻の仕事ができ、味噌も造れます。生命の水、ライフラインといったところです。
難問の一つは、何とかなる希望が出てきましたが、あんなに勢いよく出ていた水の出が弱くなっています。どこが原因なのか、そこはどこだろう? 辺りは雪の山、見つけることは困難です。しかし、今発見しなければなりません。おもわぬ難問が次々と起こっています。

 私はカセンと水漏れを探すことにした。カセンに安全ベルトを着けさせ、崖に降りてもらった。しかし無理だと判断し、私は梯子をぶら下げて作業をしました。
 彼はカナダではプログラマーとして生活できますが、豊実の生活を選びました。パソコンができても、カセンは危険に挑戦するのが好きです。わたしとの関係は、賭けでもあるが、最適のコンビである。まるで戦国時代の様です。私を理解することができないなら、カナダに帰ることを私は勧めます。彼にとって、私は怖い存在です。その雰囲気を彼は感じていると思う。

  さて、給水管を一部50ミリに細くすることにして管を設置できましたが、ジョイントで噴き出してしまう問題が発生しました。そこで私は考えました。ただ水圧が強ければいいのではなく、水圧が弱くとも適量の水が出ればいいのだ、と。安定した給水を続けるには水を止めるのではなく、一部流すことも必要だとも思いました。ともかく完成とは言えません。

 しかし味噌つくりに水はなくてはならない、早急に完成しなければなりません。
打つ手はまだあります。気力があればできます。
こうした環境が、私の生命力を強くするのかもしれません。

                                 
 
百聞は一見に如かず