2010.12.13
2回豊実地域振興計画座談会に参加して
佐藤賢太郎

この春、町議会でコスモ夢舞台に予算がついたよと、ある町議員から伺い、私は大変喜んでおりましたがそれは私の認識違いでした。

豊実地区の地域活性化の振興になるプランをコンサルタント会社に委託して作っていただくための予算ということで、コスモ夢舞台に使うための予算でありませんでした。地域活性化に何をどうするかというのは地元住民が決めることで、その意見をコンサルタント会社が集約して資料を町に提出する。町がそれをもとに県や国に予算を要求する流れようです。

行政は特定のNPO法人や任意団体に助成することは難しいようです。あくまでも住民代表から上がった意思に基づいたものにのみ予算はつけられるというようです。

私にもようやく、その仕組みが見えてきました。景観つくりなどに行政から支援をいただく手順というものはそういうものかと思いました。11月末、コスモ夢舞台を中心に第2回豊実地区振興計画座談会が開催されました。

なぜ豊実地区に活性化プランつくりの予算がついたのか、それはいうまでもなくコスモ夢舞台のこれまでの実績があってのことです。しかしコスモ夢舞台では予算が出せない、あくまでも住民総意の形を作るということです。第1回座談会は何がこの地域にできるか、参加した皆さんの話を聞いてそれをコンサルタント会社がメモにしました。それに基づいて、資料を作り現地を見ながらより現実的に話を進めるのが今回の狙いでした。

図面上の写真を見ながら、ポイントになるところを参加者全員で現地視察をしました。大沢畑や桃源の小径、アート展会場のビオトープ視察です。豊実会館に戻っての会議は、コンサルタントと地元方々、行政から豊実の分析をして豊実の売りは何か、何が弱いのか、誰を呼び込もうとしているかなどが話題にのぼりました。自然景観、アート、イベント、食がテーマに絞られました。

これまでの経過を意識していただき「佐藤賢太郎さんが何時までも元気でいることはない、何時どうなるかもわからない」という声が、区長さんや行政側から出ました。元気なうちに振興を行い、経済効果が出て後が続くような企画でなければならないと本音の言葉も聞こえました。勿論私もそう思いますが、こんな里山でアート展やイベント、景観つくりに人材を集めて汗を流すことができるかどうか、それは稀なことです。そして私とともに15年も無償で汗を流す仲間は、どんな人材銀行にもいないだろうと自負しています。

「景観つくりはともかく、アートやイベントは一定期間のもの、何かプラスアルファがないと予算要求には弱い」と職員は言います。ある山奥で食が売りになって成功している地域がある、経済効果が上がるそのようなものがなくてはならないようです。ところがこの地域には売りの食がないというのです。話は堂々巡りで、前に進みません。それは、行き着くところ誰が夢をもって、損得抜きに地域活性化のために先頭に立ってやる人がいるかどうかにかかっているからです。

私は初めから結論がありました。「あれやこれやと意見を資料にしても何も進みません。完璧などということはできないし、やれるところからやるべきです。人が来るとことから始めればよい。ここで人が立ち寄るところは自然の山や川なので、川辺に近づける石畳みの道や広場、駐車場を作ることです。これならメンテナンスがいらない。しかも年に一度の里山アート展や芸能イベント、それにビオトープでメダカや蛍が観られる。これで十分、人が集まって来ます。こんな田舎に美術館もある、それも売りにすればいい。当然、食が一番人を引き寄せる力となるでしょうが、ここではその担い手がいないのですごく難しい。人が立ち寄る空間を作り、そこで、小さな規模から徐々に地産の名物を作ってゆけばいい」と言いました。

建築設計のように図面を書いて、ここを施工してこのように建物ができて、このように機能します、と描かなければいけないのであれば、それは箱物です、一番大切な視点はそれにかける人の情熱であります。ここがないからほとんどのところは止まってしまうのでないかと思います。数字に表れない情熱を財産価値と見るべきであろう。再度申しますが長年地域活性かを目指し続けてこられたというのはその結果でないでしょうか。そして豊実のマップまで作りました。

町職員からすれば、景観だけではでは弱いと考えているようですが、これ以上何があるでしょう。情熱を持って取り組む人材がいることが大きな売り物と私は思います。

魅力ある景観を作ることもビオトープも、夢がなければ創れません。ここには華厳の滝のような名所はないのです。何の変哲もない自然を価値あるものにするのです。そこには創造力と情熱がなければ、価値あるものにできないでしょう。

こんな辺鄙なところに里山アート展ができますか? 予算がない中で15年かけてここまできたのです。普遍的には地域活性化は経済効果がないと続かないことは感じます。しかし、私は初めからそこに焦点をあわせて行動してはきませませんでした。それ以上に、何の見返りももたずに15年も行動をともにしている仲間の存在は稀有なことです。その存在は地域に大きな財産となっています。

さらに言えば、地域活性化の方程式はその地域独自の手法でしか成り立たないと思うのです。例えばテーマとなった食についての提案は、ここで可能なことを家内と話しております。次回の座談会で、私は食について家内と具体的な提言をします。

ただこの座談会でよかったと思えることがあります。長年継続があって地域より注目されるようになりました。しかしまだまだです。それはコスモ夢舞台で地域活性化を実践しても、それは我われが、もっと言えば佐藤賢太郎一個人が勝手にはじめたことであり、地域と一体とならないということです。行政によって座談会開催がなされ、地元の方がこのような形で地域活性を一緒に考える機会を作っていただいたことで、有形無形にコスモ夢舞台の活動と地元との接点が出来つつあるのではないかと思いました。

なすべき明確なことは、これからもコスモ夢舞台が自立的に夢つくりを黙々と実行することです。それは誰かのために行うのではなく、自分の実人生のために行うことが肝心です。それは同時に、地域振興の原点であろうと思えるのです。最後に、この座談会が書類つくりに終わることなく、現実的に目に見える形で一歩でも二歩でも前進すればそれでようと思います。