2009.05.17
田んぼ再発見への想い1
佐藤賢太郎

私は60歳近くになって父から相続することになり、固定資産税説明書に目を通さざるを得なくなった。すると、見たことも聞いたこともない地目としての田んぼが沢山あるのに驚いた。それを2年かけ、困難を要していろいろな方から聞き、現地に立ち会っていただき、町役場の税担当の方に確認し、ようやく私有地である田んぼを発見した。
   なぜ困難であったかというと、生前父が脳梗塞になり、私有地を私に伝えることが不可能だったからである。もっと早く聞いておけばよかった、とおもうが後の祭りである。昔から長男は外に出ず、村で暮らして、杉おこしや田んぼつくりをして、親とともに山を歩き、土地を確認したのであったと思う。

高校卒業後地元からはなれ、何もしてこなかった私には発見は困難だった。公図を見ても、何処がどこだかわからない。公図自体が明治時代に作成されたもので、現在の鉄道線や道路はそこにはない。
   隣の土地の方が今はとうに不在で、自分の私有地がどこだか解からない。そのうえ耕地整備で原型もなく、その昔田んぼであったところは、周囲でも誰も使わずに原野となっていた。当然、解かるはずがない。相続した長男であっても山の林や原野のようになった田んぼ関心がなく、第一、価値のないような地所を探すこと自体が面倒くさいので、そのままにしているのだと思う。

状況の分かる70〜80代の方がいなくなったら、今に誰もわからなくなってしまうのではないかと誰もが心配である。