2006.11.17
新竹取物語

Uターン組みの成功者として呼び声の高い隣ムラのHさんの所へ杉の木の薪をいただきに上がった折、杉より硬くて火持ちのよいナラの木を切ったものが100個くらい山にあるのでまた、お出でください。私も手伝いますのでと言われていた。
豊実はすでに、日増しに寒さの募る雨季といった天候が続いている。その合間を縫って佐藤さんと出かけた。
早速、案内してくださったのだが、なかなか目的の山の方に行く気配がない。確かに、山に切ってあるとおっしゃったはずでなのにと思っていると、チャーンソーで間伐財と古い竹を切り始めた。ところが、この竹の数が半端ではない。見る見るうちに荷台の半分以上が埋まってしまった。
これが、我らが棟梁Oさんが「廃材一つもらうのも、楽ではない。自分に都合の良いところだけをもらうわけにはいかない。相手の方は全部持って行ってもらい、きれいになることを望んでいるのだから」といつも言っていることの意味がよく分かった。

大丈夫といわれて登ったもののトラックの後輪が滑って立ち往生。4駆の軽トラに引っ張ってもらうような有様の坂道の途中まで来たところで、この道路の崖下に目的の薪があるという。見たところ、長さ25cm、直径が20cmくらいの薪には手ごろの木ではあるが、とても100個ではきかない。
Hさんが、「私も手伝いますと」とおっしゃったのもうなずける。佐藤さんと2人でやるとなったら、もらわずにそのまま帰っていたかも知れない。

小雨振る中、足元がすべる斜面で、重いボールの玉送りを2回、最後に砲丸投げスタイルでトラックに積みこむ。並みの運動トレーニングジムにもないであろうハードな課目をこなす。「休みますか」と気をつかってくれるHさんのお年齢を伺うと71歳だとおっしゃる。それにしては、動きも早いし、手際も良い。大分、年下のこちらとしては、とてもギブアップするわけにはいかない。

積み込みが終わり、一息入れたところで、栽培しているキノコを採りながら、Hさんのお話を聴く。
30町歩余りある山と田んぼを利用して、メダカの養殖、各種キノコと原木の生産販売、ぜんまい等の山菜の生産販売・骨董品売買、EM菌のような肥料の販売、野菜のための新しいカルシウムの販売等手広く商売をされている。
例えば、キノコの原木1本でも注文をいただいたら、必ずその日のうちに配達を終えるのだそうだ。アルバイトは時に応じて使っているが、基本的には一人だという。
それでも、気付いたら即実践、とにかく、フットワーク良い。他人は簡単に成功者と言うが、実際には並大抵の努力ではない。

来年、古代米を掛けるハデバの準備をするために間伐財が欲しいという話をすると、支柱は木を使い、横は孟宗竹を使ったほうが軽くて楽にできること。春になったらどちらも切っておくからとおっしゃる。
かぐや姫」ならぬ薪一ついただくにも信頼関係・人間関係作りが必要なことを痛感した。

家の雪囲い、駐車場にはトンネルを作るための足場を架け終わった。
すばらしい新緑の春を迎えるために
コスモ夢舞台の冬の準備は整った。(御沓一敏)