2019.1.14
カセンがやって来た
佐藤賢太郎

  
 大きなカバン二つとパソコンを抱えて、カセンがついにやってきた。私は駅まで迎えに行き、家内は家で「おかえりなさい」と迎えた。 
 それぞれに抱き合った。ちょうど家内と私は冷戦状態で、カセンは救世主のような存在となった。

 ところで、どのようなビザで入国したのか心配したが、
就労ビザの入国証だったので安心した。早速、「藤の家」に入り、
私たちはそれぞれ一仕事した。

 カセンはとってもラッキーな男である。友達の顔ぶれがすごいと言うのである。
きっとカナダから多くの友達が来るのであろうと思う。

 ところで、私は残された人生を数える年となったが、70歳にして未来を語れる。
これはとっても、とっても、仕合せなことである。

 カセンの両親は、「なぜ、あなたは日本に行くの?」と寂しがったと言う。「なぜ日本に?」誰でも言うであろう。カセンと私は国を超えて見えない糸で結ばれていたのであろうと思う。そこには理由はない、理屈もない。

 カセンは私のことを先生と呼んでいる。なぜならば、私から全てを学ぶ覚悟があるからだろう。朝5時から学んでいる。今日は「はたらく」と「働く」の違いについて学んだ。それを英語で説明すると理解する。カセン(火仙)は賢い男である。私が必要としているパソコンに詳しい。時をかけ、できるならば息子のようにしたいものだ。

これからは日々楽しみである。

 
 百聞は一見に如かず