2006.12.09
雪国の冬のはじまり 

12月に入って、一度も青空を見たことがない。いや11月末からかもしれなかった。いったいこの世の中に青空ってあるのかと思ってしまう。彫刻の仕事をしている石夢工房は昼でも暗い。空はいつも鉛色で覆われている。毎日これからこんな雨、霙の日ばかり続く。このことは人間の精神形成や、性格を決定付けることに深く影響するのではないかとしみじみ思う。

私はこの暗さに負けてなるものかと来年の個展のための作品つくりに向う。負けられない。負けたくない。そして本当に郷里に帰ってきたのだと思う。そしてこの環境で私の作品も変るかもしれない。

つい先ごろ、あのギリシャでは眩しいほどの青い空、青い海の元に私はいた。それが今は天と地ほど違うところにいる。しかし、私はあの青い空や海を思い浮かべながら人魚を作っている。いったいどんな人魚になって皆様の前に現れるのか。

昼日中でもこの暗い中でめげないで生きていたい。むしろこの耐える意欲が私を作ってくれるかもしれない。恵まれているばかりが人間にとっていいのでもない。今の日本の子供たち、大人たちを見ても思う。そして相撲界を見ても。新たな環境に入って再出発、頑張ろう。(佐藤・賢太郎)